- Auto-Negotiation機能のしくみ
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2019-02-07
はじめに 現在のネットワーク環境では、10BASE-T/100BASE-TX,Full/Half-Duplex等の各方式を混在させて使用する為、自動認識機能が欠かせない状況になってきている。この機能を実現するのがAuto-Negotiation機能である。そこで、Auto-Negotiation機能の動作概要について説明する。
Auto-Negotiation機能は、端末やHUBが互いに通信可能な「最大公約数」の方式を交渉(Negotiation)して 決める方法で、National Semiconductor社のNWayをベースに、100BASE-TXの仕様であるIEEE802.3Uの28条に オプションとして規定されている。(図1を参照)
- 自動認識のしくみ
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2019-02-07
(1) 両側が自動認識の場合
(Auto-Negotiation機能を持つ機器同士の接続)Auto-Negotiation機能を持つ機器同士を物理的に接続(TPケーブルで接続)すると、互いの機器が持つ 伝送方式をFLP(First Link Pulse)で伝え合う。
伝送方式とは、
a. 100BASE-TX Full-Duplex
b. 100BASE-T4
c. 100BASE-TX(100BASE-TX Half-Duplex)
d. 10BASE-T Full-Duplex
e. 10BASE-T(10BASE-T Half-Duplex)の5種類であり、優先度もこの順番(a.が最も高く,e.が最も低い)で決められている。両側の機 器は共通してサポートする伝送方式のうち、優先度の高い方式を自動的に選んで接続する。
例えば、接続した両側の機器が100BASE-TX Full-Duplex,100BASE-TX,10BASE-T Full-Duplex,10BASE -Tの伝送方式をサポートしている場合は、優先度の高い100BASE-TX Full-Duplexで接続が確定する。(2) 片側が10M専用機器の場合
(Auto-Negotiation機能を持つ機器と10BASE-T機器との接続)10BASE-T機器は、物理的な接続状態を確認する為に、「NLP」(Normal Link Pulse)を送信している。 Auto-Negotiation機能を持つ機器は、このNLPから相手がサポートする伝送方式を判断し、10BASE-Tで 接続が確定する。
(3) 片側が100M専用機器の場合
(Auto-Negotiation機能を持つ機器と100BASE-TX機器との接続)100BASE-TX機器は、パケットを伝送していない間、「アイドル信号」を送信している。Auto-Negotiati on機能を持つ機器は、このアイドル信号から相手がサポートする伝送方式を判断し、100BASE-TXで接続 が確定する。
(4) 片側が伝送速度自動認識の場合
(Auto-Negotiation機能を持つ機器とAuto-Sensing機能を持つ 機器との接続)Auto-Sensing機能を持つ機器は、ドライバの起動時に100BASE-TXと同様のアイドル信号を送信する。Auto-Negotiation機能を持つ機器は、この時送信されるアイドル信号から相手がサポートする伝送方式を 判断し、100BASE-TXで接続が確定する。波形1は、Auto-Sensing機能を持つLANアダプタとAuto-Negoti ation機能を持つ機器とを接続した時の波形である。
(5) 10M専用機器と伝送速度自動認識の場合
10M専用機器とAuto-Sensing機能を持つ機器を接続した場合は、波形2で示す様にAuto-Sensing機能を持つ機器がドライバの起動時に100BASE-TXと同様のアイドル信号を送信する。しかし、Auto-Sensing機能を持つ機器はNLPを受信する為、接続先が10BASE-Tであると判断して10BASE-Tで接続が確定する。
- FLPの送信構成
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2019-02-07
FLPは、16bitの Data Pulseと17bitのClock Pulseから構成され、接続先がAuto-Negotiation機能を備えない10BASE-T機器の場合を想定して、FLP間隔を10BASE-Tのリンク・パルス(NLP:Normal Link Pulse)と同じにしている。(図2,3)(NLPは10BASE-T機器がリンク接続の有無を確認する為に使用する。)つまり 、10BASE-T機器は、FLPをNLPと同様に見なして、リンク接続の有無をAuto-Negotiation機能を持つ機器から受信する事が出来る。
- FLPbit構成
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2019-02-07
FLPは、16bitのDataを使用し、”Selector Field”,”Technology Ability Field”と接続が失敗した場合 の情報や同期をとるためのビットから構成される(図4)。
Selector Fieldは、LAN規格 IEEE802の各方式を識別する為に使用される。(現在は、Ethernet(IEEE802.3 )とIVD LAN(IEEE802.9)が定義されている。)Technology Ability Fieldは、IEEE802.3の各伝送方式を 識別する為に使用される。また、RFは、故障の通知,Ackは、同期合わせ,NPは、メーカ独自の機能を実現 する為に使用される。(図5を参照)
- X社のSwitchingHUBのFLP確認
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2019-02-07
X社のSwitching HUBのFLP観測
実際にAuto-Negotiation機能を装備するX社のSwitching HUB(以降Switching HUBと呼ぶ)のFLPをオシロスコープで以下のように観測した。
Switching HUBと10BASE-T,100BASE-TX専用機器との接続時
- Auto-Negotiationについての補足
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2019-02-07
以上がAuto-Negotiation機能の動作概要であるが、最近では、Auto-SensingよりもAuto-Negotiationを採用 する機器が増えており、将来の伝送方式拡張(VG-AnyLAN IEEE802.12,100BASE-T2等)を見越して、未定義 領域が確保されている。(Auto-Sensing機能との違いは、Full/Half-Duplexの自動設定が出来ない、接続が 失敗した時の情報やメーカ独自の機能が使用出来ない等である。)
さらに、メーカ独自の機能として、データを圧縮して伝送する高速伝送モードや故障個所 及び 種類を特定 する故障診断機能として使用が伺える。
しかし、製品数の増加と共に普及している自動認識製品であるが、接続性に問題が発生する場合がある。