PPPoEの基本
接続構成

図1 ISP接続例 ISDNを利用したPPP

図2 ISP接続例 ADSLを利用したPPPoE
PPPoE(PPP over Ethernet)は、ADSLやFTTH環境等に使用されるネットワーク接続用プロトコルである。従来のPPPは、アナログ回線やISDN等のWAN環境で使用され、通常のEthernet環境では使用できなかった(図1)。そこで、PPPをEthernet上で使用可能にしたものが、PPPoE(PPPパケットをPPPoEヘッダで包み、ネットワーク機器が、PPPパケットをEthernetパケットして取り扱うことができるようにする)である(図2)。PPPoEを使用するには専用のクライアント(ソフトウェア)が必要で、使用するパソコンにインストールしなければならない(Windows XPではPPPoEクライアントが標準で装備)。

図3 Broadband Routerを使用したISP接続例
そこで、図3のようなBroadband Router(PPPoEクライアント機能およびIPマスカレード機能を装備)使用すると、複数台のPCを同時にInternetへ接続することが可能になる。

図4Broadband Routerを使用したISP接続例
また、NTT東西のフレッツサービスでは複数のISPに接続先を切り替えられることができる。この切り替えはプロバイダから与えられるユーザIDの「@」以降の文字を利用してプロバイダの切り替えを行う。
ISPから与えられたユーザ名が"abcde@isp1"の場合、電話局のPPPoEアクセスサーバは「@」以降の文字を確認し、ISP1のユーザと判断できる。その後、「@」の前の部分をISP1の認証サーバに送信し、通信の確立を行う。
PPPoEの手順

図5PPPoEの手順
PPPoEは、PPPをEthernet上で使用可能にしたもので、大きく分けてPPPoE Discovery StageとPPP Session Stage の2つのステージがある(図5参照)。PPPoE Discovery Stageは、PPPをEthernet上で使用するために、「PPPoEアクセスサーバ」のMACアドレスおよびセッションIDを取得する(下記(1)~(4)、(9)参照)。PPP Session Stageは、実際にPPPをEthernet上で使用し、認証、データ通信を行う(下記(5)~(8)参照)。以下にPPPoEを使用して通信を行う手順を説明する。
(1) 「PPPoEアクセスサーバ」の MAC アドレスを探索
PPPoE Active Discovery Initiation (PADI)パケットにて、「PPPoEアクセスサーバ」の存在を確認するために、ネットワーク全体に対してブロードキャストする。
(2) Broadband Routerへ応答
PPPoEアクセスサーバ」がBroadband RouterからPADI パケットを受信後、PPPoE Active Discovery Offer (PADO) パケットを、Broadband Routerへ送信する。これは、「PPPoEアクセスサーバ」のMAC AddressをBroadband Routerに対して通知するものである。
(3) セッションの開始を要求
Broadband Routerが「PPPoEアクセスサーバ」のPADOパケットを受信後、PPPoE Active Discovery Request (PADR) パケットを「PPPoEアクセスサーバ」へ送信する。これは、Broadband Routerから「PPPoEアクセスサーバ」に対して、PPPoEのセッションIDを要求するものである。
(4) セッションIDを通知
「PPPoEアクセスサーバ」がPADRパケットを受信後、PPPoE Active Discovery Session-confirmation (PADS) パケットを送信する。これは、「PPPoEアクセスサーバ」からBroadband Routerに対して、セッションID(ユニークな値)を通知するためである。これ以降は、ここで取得したセッションIDを使用し通信を行う。
(5) ~(8)
(5)~(8)はPPP Session Stageとなり、LCPネゴシエーション、認証、IPCPネゴシエーション、PPP通信(実際のデータ)を行う(用語:LCP、IPCPは図5中にて説明)。
(9) 通信終了要求
PPPoEセッションの終了を要求するPPPoE Active Discovery Terminate (PADT) パケットを送信する。PPPoEセッション終了要求(PADTパケット)は、Broadband Routerまたは「PPPoEアクセスサーバ」どちらからでも要求できる。