Ethernetの標準規格(IEEE 802.3)
はじめに
LANの標準化は、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)で、802プロジェクトとしてスタートしました。1980年2月にスタートしたので802とプロジェクト名がつけられたということです。Ethernetの標準化は、このプロジェクト内に設けられた802.3委員会(ワーキンググループ)で進められました。このプロジェクトには、125以上の企業や大学が参加し、そのプロジェクト名称はそのまま規格名として受け継がれています。
標準規格は、IEEEにおける標準化作業の後、先ずANSI/IEEE標準として発行され、その後でISO(International Standards Organization)国際標準として承認・発行されるのが普通です。ISO規格の改定周期は約3年と長いので、その間における規格の改定や新規格は補足版として随時IEEEから発行されています。これらの補足版は、次期改定時には規格本体に取り込まれます。
もう少し規格全体としての表現上の統一があってもいいような気がしますが、分業の成果として割り切られているようです。
IEEE 802.3規格の構成
IEEE 802.3規格(1993年版)の構成を図5に示します。
Ethernetは同軸ケーブルのみが規格対象となる伝送媒体でしたが、 IEEE 802.3規格では種々の伝送媒体が規格化されており、図6に示すルールでその規格名がつけられています。
10BROAD36を唯一の例外として、その他の規格はすべてEthernetファミリーです。Ethernetの正当な後継者である10BASE5、細径同軸ケーブル(RG58U)を採用してネットワーク敷設の簡易化・コストダウンを狙った10BASE2、電話線用のツイストペア線を伝送媒体に使用したStarLANとして知られる1BASE5、現在その普及が目覚ましいツイストペア線を使用した10Mb/sの10BASE-T、その光ファイバ版10BASE-FX等々、Ethernetの発展形が次々に規格化されています。
10BASE-Tを更に高速化したのがFast Ethernetと呼ばれる100BASE-TX/T4規格です。また、10BASE2はThin-EthernetとかCheaperーNetとも呼ばれます。これに対応して、10BASE5をThick-Ethernetと呼ぶ場合もあります。
IEEE 802.3規格の詳細
それでは、IEEE 802.3規格の主要部分を眺めてみることにしましょう。ここでは、規格としてどのようなことが定義されているかを中心に、IEEE 802.3規格から抜粋して説明します。Ethernetのしくみと規格としての関係を理解して下さい。
●MAC層のサービス(IEEE 802.3: 2.MAC Services Specification)
第1章の導入部(Introduction)に続き、第2章ではMAC(Media Access Control)層が提供するサービスの概念が説明されています。IEEE 802規格で特徴的なことは、OSIモデル(図7)におけるデータリンク層がLLC(Logical Link Control)層とMAC層(図8)に分割されて定義されていることです。
IEEE802.3のMAC層であるCSMA/CDについての具体的な仕様は、第4章で定義されています(後述)。