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ホーム > 技術情報 > Ethernetの標準規格(IEEE 802.3)10BASE5

<Ethernetの基本事項>

Ethernetの標準規格(IEEE 802.3)
10BASE5

Ethernetの心臓部ともいうべきCSMA/CDによるアクセス手法が、この第4章で定義されています。
通常イエローケーブルと呼ばれる外径約1cmのインピーダンス50Ωの同軸ケーブルが通信媒体として使用されます。最近では、黄色以外のカラーバリエーションも豊富になってきており、セグメント別の色分けも可能です。また、リピータ無しの場合の最大セグメント長は500mで、1セグメント当たりの最大接続MAU数は100台です。

10BASE5用MAU-同軸ケーブル間の電気的特性

10BASE5用MAU-同軸ケーブル間の主要な電気的特性の規格を以下に示します。

[受信処理]
MAUを同軸ケーブル側から見た場合の入力インピーダンスは、容量2pF以下、抵抗100kΩ超と規定されています。これは非送信状態において、5MHzから10MHzの周波数レンジで、電源の ON/OFF状態に関係なく達成されなければなりません。正常な通信の障害となる反射波を防ぐためにこうした厳しい入力容量規制になっています。また、同軸ケーブルへの実際の接続点であるコネクタ部の容量も含めた合計でも4pF以下と規定されています。

[バイアス電流]
非転送時におけるMAU-同軸ケーブル間のバイアス電流は、電源のON/OFFとは無関係に+2uAから-25uAの範囲にあることと規定されています。電流の流れる方向は、MAUから同軸ケーブル方向が“+”です。

[同軸ケーブル上の信号レベル]
同軸ケーブルは電流ドライブ方式でドライブされ、1個のMAUは通常送信時に平均直流電流レベルで-37mAから-45mA、最大ピークで-90mAをドライブします。この電流が両端が50Ωで終端された同軸ケーブルに流れると振幅約2V、平均電圧レベル約1Vの電圧波形となります。図3.20に同軸ケーブル上の波形を示します。 DO信号から同軸ケーブル上信号へ変換開始時のビット消失は2ビットまで許容されています。変換遅延時間は、定常時1.5ビット以下と規定されています。また、同軸ケーブル波形からDI信号への変換開始時のビット消失は5ビットまで許容されています。

[衝突検出]
衝突発生時には複数のMAUのドライブ電流が重なって平均直流電圧が通常値より下がりますので、これによって衝突状態を検出することができます。規格では、衝突時には平均直流電圧で-2.2Vより低い値を保持できるドライブ能力が要求されており、衝突検出のスレショールド値は-1.492Vから-1.629Vの範囲となっています。MAUは衝突検出後9ビット時間(900ns)までにCI信号上に衝突検出信号(CS0: 10MHz)を送出しなければなりません。また、衝突状態が解消された後は20ビット時間(2us)以内に衝突検出信号の送出を停止しなければなりません。CI信号は、SQEテストとしても利用されますが、そのテスト信号の送出規定は、DO信号上のIDL信号検出から0.6us - 1.6us後に10±5ビット期間です。

[ケーブル波形の立上り/立下り時間]
10-90%の立上り/立下り時間が25±5nsで、立上り/立下り時間は2ns以内で一致しなくてはならないと規定されています。

[ケーブル波形の高調波成分]
高調波成分も規制されており、第2次・第3次で基本波の20dB以下、第4次・第5次で基本波の30dB以下、第6次・第7次で基本波の40dB以下、他の高次高調波で基本波の50dB以下となっています。

[ジャバー機能]
何等かの障害により、MAUがデータを長時間送信しっぱなしになってしまう状態を回避するためにジャバー(Jabber)と呼ばれる機能をハードウェアでMAU内に実装することが要求されています。この機能は、送信時間を監視し所定の時間を超過した場合は強制的に送信を停止させるためのものです。規定による制限時間は最少で20ms、最大で150msになっています。ジャバー機能により送信が停止した場合は、MAUは衝突状態をDTEに伝えるモードに入ります。このジャバー保護状態の解除は、DTEから電源供給を受けるMAUではその電源ON/OFFにより、自己電源供給のMAUでは0.5s ± 50%後に解除してもよいことになっています。
10BASE5用 MAUの電気的特性
10BASE5用MAUの主要な電気的特性の規格を以下に示します。

[電気的絶縁]
MAUは同軸ケーブル側とAUIケーブル側の電気的絶縁を提供しなければなりません。両者間の絶縁抵抗は、60Hz測定時に250KΩ超、3MHz - 30MHz測定時に15Ω未満が要求されています。また、絶縁試験電圧はAC実効値で250V以上が要求されています。

[消費電流]
AUIインタフェースの項で述べたように、MAUの許容消費電流は最大500mAですが、MAUの消費電流をラベル表示するように規定されています。

[信頼性]
MAUの平均故障間隔(MTBF: Mean Time between Failure)として100万時間以上が要求されています。10BASE5の場合、一つのMAUの故障がネットーワーク全体の故障になりかねませんので、信頼性は重要な要素です。

[EMC耐性]
EMC耐性(電磁環境耐性)として、次の2つの条件のいずれかに適合するように要求されています。一つは、電界強度2V/mで周波数10KHzから30MHz、電界強度5V/mで周波数30MHzから1GHzの電波環境下(これは、放送局から1Kmの距離の標準的な電界強度さそうです)。もう一つは、1V/nsの立上り特性を持った電圧波形を同軸ケーブルのシールド部とDTEのアース間に注入する方法です(15.6Vの波高値の10MHzのサイン波を50Ωの出力インピーダンスで注入)。

同軸ケーブルとコネクタ

要求されるケーブルの特性については、他のケーブルと一緒にまとめて後述しますが、それ以外の項目で10BASE5で特に規定されていることに触れておきます。

[マーキング]
MAU同士の相互干渉が小さくなるようにMAUの取り付けができるように2.5m±5cm間隔でのマーキングが要求されています。

[Nコネクタ]
同軸ケーブル同士の延長接続やターミネータ(終端抵抗)の接続にはNコネクタ(IEC Pub 169-16)の使用が規定されています。

[タップコネクタ]
同軸ケーブルにタッピングしてMAUを取り付けるためのコネクタで、接続容量2pF以下、接触抵抗50mΩ以下が要求事項です。ル同士の延長接続やターミネータ(終端抵抗)の接続にはNコネクタ(IEC Pub 169-16)の使用が規定されています。

[ターミネータ]
ターミネータは同軸ケーブルの両端に接続されますが、その規格としては、0 - 20MHzの測定レンジで50Ω±1%、位相角が5度以下となっています。また、許容電力は1W以上と規定されています。

[アース(接地)]
同軸ケーブルはどちらか片端で接地することが推奨されています。これを目的とした接地端子付ターミネータも販売されています。

●リピータ装置
ここでは、10BASE5、10BASE2及び10BASE-Tで使用されるリピータ装置に関して規定されています。

リピータの機能

リピータはネットワークの各セグメントを物理層で接続するもので、基本的には転送フレーム波形の再生・再送出を行うアンプのようなものです。リピータによってネットワークの距離の延長や10BASE5、10BASE2、10BASE-T等の異種通信媒体の相互通信も可能になります。
複数のポートを備えているものはマルチポートリピータと呼ばれますが、10BASE-Tではハブと呼称する方が一般的です。リピータの主な機能を以下に示します。

[信号増幅、タイミング再調整
信媒体上を伝わってきた信号は、波形が歪んだり、減衰したり、他のノイズの影響を受けたりして劣化しているのが当然です。リピータはこの劣化した信号をもう一度正規の状態に再生します。プリアンブル部は消失ビットを補って通常は56ビット(オクテット)で再生します。また、96ビット長以下のフレームを受信した場合は、ジャムパターンを補い96ビット長のフレームとして出力しなければなりません。

[データ転送処理]
複数のポートを持ったリピータ(マルチポートリピータ)では、一つのポートからの入力フレームデータを他のポートにそのままの形式で転送します。フレーム転送遅延は、AUIポート-AUIポート間で8ビット時間(800ns)以下と規定されています。10BASE5もしくは10BASE2用ののMAUを内臓している場合は、更にこれに追加して入力ポート側に6.5ビット時間(650ns)、出力ポート側に3.5ビット時間(350ns)の遅延が認められています。10BASE-Tの場合も同様に、入力ポート側に8ビット時間(800ns)、出力ポート側に5ビット時間(500ns)の追加遅延が認められています。

[衝突処理]
リピータは各ポートに接続されたセグメントにおける衝突の発生を監視します。いずれかのポートで衝突を検出すると、他の総てのポートにもジャム信号(Jam)を送出して衝突状態を通知します。衝突ジャムの転送遅延は、AUIポート-AUIポート間で6.5ビット時間(650ns)以下と規定されています。10BASE5もしくは10BASE2用のMAUを内臓している場合は、更にこれに追加して入力ポート側に9ビット時間(900ns)、出力ポート側に3,5ビット時間(350ns)の遅延が認められています。10BASE-Tの場合も同様に、入力ポート側に9ビット時間(900ns)、出力ポート側に5ビット時間(500ns)の追加遅延が認められています。

[ジャバー保護機能]
10BASE5と同様のジャバー機能がリピータにも装備されます。仕様も少し変更されており、呼称もJaber Lockup Protectionと保護を強調した言葉が使われています。フレーム転送制限時間は5ms -20% +50%となっています。リピータの機能として、ジャバー保護で送信禁止になったポートは、9.6us - 11.6usの時間経過後、再び送信可能状態にしなければなりません。

[自動パーティション]
10BASE-Tのリピータに採用されている機能で、連続衝突回数が異常に多いポートや異常に長い期間衝突が発生しているようなポートを自動的にパーティション(そのポートをリピータの構成から分離する)します。パーティション条件の連続衝突は30回以上、異常衝突時間は0.1ms - 3msの範囲と規定されています。

リピータの電気的特性

環境条件的な規定について述べておきます。

[電気的絶縁]
使用環境に応じて、2種類の規定があります。単一の電源供給源に接続された機器で構成されるネットワークで単一のビル内に構築されている場合は500Vrmsで1分間、複数の電源供給源に接続された機器で構成されるネットワークで複数のビルにまたがって構築されている場合は1500Vrmsで1分間と規定されています。

[信頼性]
2ポートリピータの場合は平均故障間隔(MTBF)で5万時間以上、2ポートを越えるリピータついては、追加1ポート当たり3.46 x 10-6故障/時間以上の故障が発生しないことと規定されています。

 

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